土壌pHを下げたい(酸性にしたい)場合はどうすればいい?

畑のpHを下げたい場合、どうすればいいのかなと勉強したので、メモ代わりに記事にしました。どなたかの参考になれば。

目次

土壌pHを酸性にできる資材

結論から言うと、ピートモスと硫黄肥料の2点になるんじゃないかなと思います。あと乳酸菌もいいかも。メリットデメリットも書いておきますね。

1.ピートモス

ピートモスは、泥炭を乾燥・粉砕したものになります。これはお酒好きのウンチクですが、スコッチウイスキー(特にアイラ等)の独特な香りは、ピート香といって、スコットランドにたくさんある泥炭をいぶしたときに出る香りが染みついて生まれます。

メリット

  • 土の保水性が上がる
  • 通気性がよくなる
  • 土のなかの有機物が増える
  • 自然由来で有機JASとか色々なことを気にされる方も安心して利用できる

デメリット

  • 元々保水力が高い土の場合、過湿となり根腐れの原因になる
  • 畑のpHを下げる目的で使う場合、大量施用によりコスト高になる(土壌pHを1.0下げるのに、10aあたり1.5tくらい)

2.硫黄(いおう)肥料

温泉とかいくと匂ってくる、あの硫黄です。植物も硫黄を吸っていて、じつは窒素やリン酸カリウムなどといった多量必須元素のひとつです。ただ、これまでの通説では施用しなくても良い(火山地帯である日本の土壌に硫黄が豊富に含まれるため)と言われてたんですが、最近はどうも硫黄が不足しつつあるそうです。

メリット

  • 肥料分の補給になる(硫黄は植物の体を作るのに役だったり、光合成を助けたり、ニンニクの匂い成分の材料になったりするそうです)
  • ピートモスと比べて施用量が少なく済む(肥料にもよりますが土壌pHを1.0下げるのに、10aあたり60kgくらい)

デメリット

  • 肥料としてはやや高級。20㎏4000円~ぐらい。
  • 硫黄過剰による生育障害はとくになく、調べた感じでは大きなデメリットなさそうです。とは言え私は使ったことがないので、ご存じの方コメント等で教えてください。ニオイがきついとか、ないのかな?あと影響がないらしいとは言われても、特定の成分が過剰になるのはなんとなくイヤですね。

3.乳酸菌資材もこれから期待できるかも

みんな大好きマミーやピルクル、ヤクルト、ヨーグルトとかの乳酸菌ですね。乳酸菌が土のなかで乳酸を生産することで一時的に土壌pHが下がるそうです。

メリット

  • 無駄な肥料分「窒素」を吸い、ゆっくりと植物に養分を供給できる
  • 土壌中の有機物を分解し、植物が吸収しやすくしてくれる
  • 土壌中の病原菌の密度を減らし、結果的に病害虫予防になる(拮抗作用)

デメリット

  • 腸内環境と一緒で徐々に減るので、定期的な補給が望ましい
  • 具体的にどのくらいpHが下がるのかわからない(生物なので検証も難しそうですね)
  • 高級になりがち(頑張ったら自分で培養もできますが・・)

あと、これももしかしたら・・?知見のある方ご意見ください

他の方のブログ記事を読むと、コーヒーかす、油かす肥料も酸性だそうです。もしかすると畑のpHを下げたりできるかもしれません。とても興味深いですね。

あと木酢液も酸性ですが、土壌pHを下げる目的で施用するとダメです。(後述)

ブログ記事はこちら⇒http://yasainojikan.jugem.jp/?eid=205

また、肥料の硫酸カリウム(硫加)も土壌pHを酸性にしますが、pH調整を目的にするとカリウム過剰になってしまいます。pH調整は一気にできないってことですね。

【注意】成分が酸性でも、施用すると土壌pHがアルカリになるものもある

資材そのもののpHが酸性でも、畑に入れるとなぜかpHがアルカリになる資材があります。例えば木酢液はpH4~5程度の酸性ですが、土に入れると何もしないときよりもpHが上がる(アルカリになる)という研究結果があります。おそらく土壌微生物が木酢液の成分を分解する過程でそうなるんだろうとのこと。土って本当に不思議ですね。

論文はこちら⇒https://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/kenkyu/tokusan/documents/toku-26-4_1.pdf

酸性を好む野菜や果物

当園も栽培している、じゃがいもは正に酸性を好む野菜のひとつです
品目適したpH
じゃがいも(ばれいしょ)5.0~6.0
落花生5.0~6.5
さつまいも(かんしょ)5.5~6.5
※pHが5.5以上になると立枯病が増えるという論文もある
ブルーベリー4.5~5.5

土壌がアルカリ性になると何が起きるの?

上に書いた酸性を好む野菜は別として、一般的な野菜は6.0~6.5の中性~弱酸性を好みます。(ごくまれにアルカリ性を好む野菜もあります)

たとえば土壌pHが7.5~8.5とかアルカリ性に偏るとどんなことがおきるでしょうか。

リン酸、カリウムなどの養分をうまく吸えなくなる

リン酸、カリウム、マグネシウム、ホウ素、鉄分といった養分を植物がうまく吸収できず、生育に悪影響が起きる場合があります。例えば、葉脈付近の色が薄くなり光合成効率が落ちて生育が悪くなります。

一部の酸性を好む野菜はpH6を超えると病気が発生しやすくなることも

たとえばジャガイモだと、そうか病(お芋の表面にかさぶたができる)。サツマイモだと立枯病(つるが枯れたり、お芋の表面にかさぶたができる)が発生しやすくなると言われています。

まとめ

pHを調整するのは大変で、特に酸性にするのは手段がかなり限られます。(露地栽培の場合は雨水で少しずつ酸性になっていくと言われています)

そもそもpHが上がりすぎないように注意しつつ、プランターならピートモスを、畑には硫黄肥料を検討するのがよさそうかなというのが、私の結論です。乳酸菌はpH調整しづらそうなので、それ以外の観点で取り入れる資材かなと思います。

最後までご拝読いただきありがとうございました。

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