新しく農家になることを「新規就農」なかでも私のようにもともと農家でない人間の場合は「新規参入」と言います。このページでは私が実際に新規参入をしたときの道のりを簡単にご紹介します。
前編(なぜ新規就農を決めたか?)はこちら

大阪で農家になるぞ!
大阪府の農政室に相談すると、実家が農家でない人の場合は、先進農家で何年も修業するか、農業大学校で勉強するか2つの道を紹介されました。
修業はイヤだ!学校にいく!
農家さんでの修業は、修業した土地や修業した作物で独立すると決めているなら良いと思います。ですが、私はそのときまだ「どこで」「なにを」「どんな風に売る」のか決めていませんでした。そのため修業して身に着けた技術が活用できないリスクを感じました。
総合的に勉強しながら、「どこで」「なにを」「どんな風に売る」のかをじっくり考えられる農業大学校への入学を決め、ついに退職しました。
大阪で果樹農家するなら「いちじく」か「ぶどう」?
みかんとかクリとか桃農家さんに怒られそうですが・・勉強していると、大阪のくだもので「いちじく」か「ぶどう」が別格に生産量が多いことがわかりました。(ちなみに大阪の桃農家さんで糖度のギネス記録とってる方がいらっしゃいます)
ぶどうは精密で手間暇をかける作業が多く(私は大雑把)、また栽培方法が背中と首に来る(ヘルニア持ち)なこともあって、野菜も作りたい私は「いちじく」をメインの作物に決めました。自分も妻もいちじくが好きなこともかなり影響してます。
農地探し
いちじくの産地である羽曳野市。学生のうちから羽曳野のいちじく農家さんのところへ積極的に顔を出し(飲み会)、ついに地主さんを紹介していただけることに。本当に運がよかったです。
年が近い先輩農家さんが多い
羽曳野市には年齢が近い先輩農家さんが多く、機械を借りたり技術相談したりしやすく、そのこともとても理想的でした。
ちなみに私のように農家さんのもとで修業せず学校の勉強だけで新規独立するのは、かなり稀です。自分で選んでおいてなんですが、人にはあまりおすすめしません。
実際に新規就農してみて感じること
環境に寄り添った仕事ができ、アウトプットもインプットも自由度が高く、ウン十年前の技術が今でも生きてる業界なので今身に着けた技術も長く通用しそう、時間も比較的自由に使えることもあり、新規就農してよかったなと感じてます。
一方で支出が考えていたより多かったり、収入面は正直なところかなり下がってしまっていたり、農作業に忙殺される毎日だったり、出来高が天候に左右されるなどなかなか大変なことも多いです。
ですがそれもこれも全部、食べたお客様の「美味しい」という言葉と笑顔で報われますので、そのことが何よりも農家になって良かったことだと思います。
当園のスローガン「農で感動をわかちあう」は、就農を考えはじめた当初からの価値観を明文化したものです。資源を循環させ、笑顔も循環できる農園を目指し、日々頑張っています。
新規就農も選択肢のひとつに
もしいま、生きづらいなと感じている方や、食べることに関わる仕事がしたい方、自然に触れたりものづくりが好きな方がいらっしゃったら、新規就農を生き方の選択肢のひとつに入れてみるのも良いのではないでしょうか。