いちじく歴史探訪Vol4.なぜ羽曳野市で、いちじくが産地化したの?いちじく農家が3つの理由を考えてみた

じつは大阪は、いちじくの生産量が全国でも3位という、いちじく大国です。なかでも羽曳野市は、大阪で一番のいちじく産地です。

そんな羽曳野市でいちじく農家をしている私が、なぜ羽曳野が産地化してるのか?を考えてみました。

目次

羽曳野市でいちじく栽培が栄えた理由は大きく3つ!「土壌」「気候」「立地」

1.水はけが良く、肥えている羽曳野の土壌

羽曳野市には「石川」という大きな河川が流れており、堤防が整備されるより昔はよく氾濫していた歴史があります。

そのため、砂地土壌で水はけがよく、また河川が運んできた栄養分でよく肥えた土壌が羽曳野の土壌の特徴ともいえます。(もちろん村によって様子は異なってきます)

いちじくは根っこが弱く、停滞水に合うと、すぐに根痛みを起こします。その一方で、極端な乾燥にも強くないため、適度に水を与えることも必要です。そのため、水はけが良い砂地土壌であり、かつ必要な時期に河川から大量の水を引っ張ってこれる羽曳野市は、いちじく栽培にとても相性が良い土地と言えます。

羽曳野の土壌をつくった地理的背景は、あの古代文明に似てる・・?

ちなみに、世界遺産にも指定された「百舌鳥・古市古墳群」がある羽曳野市は古くからヤマトの王族と密接な土地でした。そのこともあって、羽曳野の豊かな土壌で農耕がとても盛んに行われていたと考えられています。

河川の氾濫が豊かな土壌を育んだ、というのはなんだか、ナイル川の氾濫によって豊かになった古代エジプト文明と少し似ていますね。

サラサラの砂地土壌は、芋類の栽培にも適しています

2.温暖で比較的雨の少ない南河内の気候

大阪は日本全国的に見ても、比較的降雨量が少ない地域です。その中でも羽曳野市がある南河内地域は、年間平均1200mm程度(全国平均は約1800mm)で、全国的に見て日照りが多く乾きやすい地域です。※南河内の降水データは近隣の八尾観測所を参照

瀬戸内海式気候の東端にあり、さらに羽曳野市周囲の山地(東:金剛山・葛城山、南:和泉山地、北東:生駒山地)が雨雲を落としてしまうために、特に雨が少なくなる傾向があります。

羽曳野市に観測所がないために具体的数字は出ませんが、実際に羽曳野市に長く住んでいる住人の方で、雨雲が避けていくように感じるという声も耳にします。

雨が少ないとなぜいちじく栽培につながるのでしょうか?

それは、いちじくの果実が降雨に弱い性質をもっているためです。特に樹上完熟した柔らかな果実は、降雨にあたると果実が裂けたり、味わいは水っぽくなり、また極端に痛みやすくなります。そのため、日照りがよく続く羽曳野市が、朝採り完熟いちじくを栽培するのにとても適しています。

突発的な雨の影響でひび割れしてしまったイチジク。これくらいなら販売できますが、もっと酷いと販売ができなくなります。

3.大消費地である大阪市内まで片道30分!都市近郊という立地条件

完熟いちじくは美味しいのですが、弱点として日持ちしません。そのため、スーパーなどに並んでいるいちじくは一般的に、完熟手前で収穫した「日持ちを優先させた」いちじくになります。

一方で、いちじくは追熟しづらいフルーツなので、樹上完熟させた果実が最も糖度がのって柔らかく美味しいです。

大消費地である大阪市内まで30分圏内という、都市近郊の立地こそが、朝採り完熟いちじくの産地として栄えた理由の一つだと私は考えています。

いちじく断面
完熟トロトロの果実はマジで日持ちしません

さらにこんな歴史的な背景も

さて加えて、大阪府の資料によると、じつは羽曳野市には全国に先駆けて水田転換園(儲けの少ない水稲から、儲けの高いイチジクをつくれる畑へ作りかえる技術のこと)を行ったという、他の産地でイチジク導入が盛んにおこなれるきっかけをつくった歴史もあります。

そんな歴史的なこともあったりして、羽曳野市がいちじく大産地として形成され、今も存続しています。

これからの羽曳野のいちじく

ですが、そんな羽曳野市でも、いちじく畑が少しずつ減ってきているのが現状です。高齢化による担い手不足、住宅や商業施設などへの開発、経費高騰を価格転換しづらい農業の厳しい経営状況など、様々な要因があります。

美味しい朝採り完熟いちじくをつくり多くの人を笑顔にしてきた、羽曳野市のいちじくを守っていきたい。

私たちは「今年も美味しかった」と言っていただけるよう、朝採り完熟いちじく「しあわせ無花果」を大事に育てています。この土地だから育つ美味しさを、次の世代にも残していきたい。ハッピーファームも、その歴史の一部を担える農園でありたいと願っています。

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